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芸科生の活動

07. 『雨と忘れる』
14年度生 総合芸術学系列 小野茜

(1) 表現したかったこと

 今回音響を通して、雨の日にはたくさん様々なことを考えるということ、またその考えていた内容は雨が止んでしまうとすぐに忘れてしまうということを表現しようとした。最初は今年自分の中で雨に関係する出来事が多かったこともありテーマを「雨」にしようと思ったが、それだとイメージが膨大になってしまうと思い記憶と結びつけることを考えた。

(2) それをどのように音響に置き換えようとしたか

 本来雨のときに考えている内容としては良いことや悪いことまたそれ以外のこともあるが、雨のイメージを受け取って考えているためデフォルメ化して美しい音だけで構成しようとした。今回は素材を雨の効果音とピアノの音だけに絞り、無造作に並べることできれいな音を気持ち良くないものに感じさせることを目指した。ピアノで録音したオクターブの各七音は機械じみたものでないものにしようと手を加えなかったが、偶然にももともとのピアノの状態があいまって明るい音にはならず雰囲気にあうものになった。雨の音を終始ずっといれていたのは雨による影響が大きいことと作品そのものの輪郭として雨を強調させたかったからである。
最初ピアノの音で始まるのは雨の中に行く前も何かしら考えていることがあり、だんだん雨の音が大きくなりピアノの音が増えていくのはその思考が雨による影響に飲み込まれていくのを表現した。途中で流れ出す楽曲はフレデリック・ショパンの『24の前奏曲』作品28第15番の変ニ長調の前半部分と中間部分を細かく切ってつなげたものである。微妙な変化をつけながら淡々と進むこの楽曲が合うと判断して全体的な流れを構成するのに用いた。
中間発表では最後の部分を忘れてしまうことを表現しようと曲の切れ目を利用したが、忘れてしまうことそのもの、またその悲しさや切なさを表現した方がよいという意見をいただき、曲の途中で淡々と消していき最後にピアノの音に大げさにリバーブをかけたものと微かに聞えるノイズのような雑音を入れて頭の中は空白で耳がキーンとする状況を表現しようとした。また中間発表時は聞き終えた後に何も残らないサクッと終わるものを作りたいと思い1分18秒で終わりとしていたが、もっと長くした方がよいというアドバイスをたくさんいただいて最終的には2分38秒まで伸ばした。そのぶん様々な音を詰め込めたのでよかった。

(3) 完成音響を聞いての自己評価

 ストーリー性や展開などは一切なく、記憶と感覚をピアノの音だけで表したものなので聞いても意味が分からないと言われればその通りだ。しかし終盤へ向けて思考が積み重なっていく気持ちの悪い音の並びは上手く表現することができた。ピアノの音を詰め込みすぎてひとつひとつがハッキリしなくなってしまったのは残念だった。なんとか作品としての形はつくることができたが、すぐに忘れてしまうようなものになればよい。

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