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芸科生の活動

10.『AM4:42』
15年度生 音楽学系列 中村真生

(1) 何を表現しようとしたのか

 私は世間で「夜の世界」と呼ばれる環境でアルバイトをしている。そこで私の目によく映るものは、酒に溺れて欲望と快楽を満たす大人たちである。まるで日本の闇を垣間見ているかのようだ。いつもその光景が脳裏に焼きついたまま始発の電車で帰宅する。それは乗客もほとんどいない静寂な空間であると同時に神々しい朝日が仕事終わりの私を癒してくれるのだ。私の1日の中で唯一「汚れや醜さの無いある種の平和」を感じる時間であると言っても過言では無い。美しさとは醜さが存在して成立する。戦争があっての平和が成立する。私はそのコントラストを実体験から音響で表現しようと試みた。

(2) それをどのように音響で表そうとしたか

 最初の作業として始発電車を平和の象徴として表現するために電車の走行音と波の音と鳥のさえずりを組み合わせた。そこに走行音、波、鳥のさえずりをフェードアウトし、水中の泡の音を加えることによって眠りにつく自分を表現し、中間発表を迎えた。発表を終えて色々な助言をいただき、そこで初めて美醜のコントラストを強く意識した。また音響作品にもっと締まりをつけるためストーリー性を取り入れることにした。実際に職場の音を録音してピッチとスピードを下げ、パンを効果的に振り分かることで闇感を再現した。ストーリー性をつけるために、眠りにつき泡の音だけのところに徐々に職場の音を重ねてみた。やはり平和というものは儚いもので、また醜い世界が支配するという一連の流れを作ることとにした。またもう一つの手段として駅のアナウンスを重視した。この駅のアナウンスをヒントに考えてみると、最後に自分が電車で居眠りしている間に山手線を一周してしまったオチが読み取れる。

(3) 完成音響の客観的自己評価

 「平和」という曖昧な題材の音響作品をコントラストやストーリー性を補うことでメリハリのついた作品に仕上がったが、どこか伝わりにくい箇所が多い作品でもあるとも思う。エフェクトの使い方や違った視点から音色を選んでいればその点は補えていたのではないかと思う。

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