• HOME
  • 芸科生の活動
  • 大学院生の活動
  • 卒業論文
  • イベント/お知らせ
  • 学科紹介
  • 大学院研究科
  • 教員紹介

芸科生の活動

12.『@自分』
15年度生 美術系列 松本拓真

(1) 何を表現しようとしたのか

 この音響作品のストーリー性では二つの視点から見ることを想定している。
 一つはバカッターのような悪ふざけだけど面白い内容が拡散されていく様子を表した。はじめはあほらしさが面白いというような好印象で広まっていくが、拡散の特性上様々な人の目に止まることで、見解の相違、解釈の違い、勘違いなども起こりうるし、その内容に関して批判、面白いという笑いよりかは嘲笑といったような反応のようなものに変わって増えていき、それらが恐ろしく感じてしまい、次第に通知音自体がそういった好ましくない反応を知らせるものに聴こえてきてしまう様子、拡散の数が増えて行く快感が徐々に不安に変わっていく様子を表そうとした。必ずしも全員が同じ反応を持つわけではないという意味も含めて解釈できればと思っている。
 そしてもう一つが、作品内のスマホの電話着信音や様々な交通機関で聞こえるような音や不気味な吐息音は有名な都市伝説、怪談にある「メリーさん」の比喩的表現として用いている。
 メリーさんを用いた理由は、近年見られるSNSなどで公開した些細な情報が個人情報諸々の特定につながってしまい、いつでもその情報の発信源のもとに訪れたり、コンタクトを取れてしまうという事。特に炎上レベルに近い拡散による特定の危険性は尚のこと高いという事。
 遠くに広まった情報が逆に自分の近く、身の回りに危険が近づいてくるという事の比喩として「メリーさん」の話の設定にある恐怖、危険の象徴としてのお化け、幽霊であるメリーさんが徐々に近づいてくる様子と似ていると感じた事から採用した。
 また、タイトルの@自分というのはツイッターで特定の人にリプライを送る際の形式を用いて、自分に向けて反応、通知が来る形を、または危険性の比喩のメリーさんが自分宛に電話が届くという形を表している。

(2) それをどのように音響で表そうとしたか

 中間発表では具体、リアリティの表現が半端に出てくることが却って作品として微妙になってしまうということで、具体表現は削り、また、なるべく平坦にならないようエフェクトできちんと差別化を図った。
 左右で振っている笑い声にピッチシフトをかけて高くしているのは、最初は面白い、可笑しいというような感想を持つ人々の様子(笑っている様子)を表した。通知音もそういった嬉しい反応であることを表すために高いピッチにしてある。徐々にピッチが低くなっていくのも笑い声が徐々に違う意味での笑いになっていく様を、通知音も同様に自分にとって不味い、不都合な反応が増えて行く様を表した。最後は全ての自分宛の通知が怖くなってしまう様子(特定等されると尚のこと)を表した。

(3) 完成音響の客観的自己評価

 自分の凝り性な性格が裏目に出て、技量に合わない難しいテーマ設定にしてしまった事が完成を難しくさせてしまった。テーマの絡ませ方が少しこじ付けが過ぎたのがやはり不味かったと思う。通知が来る理由、その内容等の詳細を音で表現するのが、テーマが2つあることも考えるとただただ音数が増えてごちゃごちゃするだけになってしまうと思ったのでその部分を作らなかったが、あとになっていっそ付け加えてカオスな感じを表せばよかったようにも思えた。
 音源の作り方、加工に関しては割と考えてまとめたが、やはりこの2つの視点から見させるテーマを、一回聞くだけで理解できるように綺麗にまとめて表すのが非常に難しかった。
 完成させた時は満足していたが一日空けて聞き直すとやはり何を表しているかというのを一度聞いただけではっきり理解するのは難しいと感じた。中間発表の評価を聞いて修正を入れていくようにしたが却って勢い?や面白みがなくなったようにも個人的に思えてしまい、とても悔いの残る制作になってしまった。構成の練り直し、再構成の試行の時間のほうが多くて構成を固めてからの制作に時間をかけられなかったのも心残りであった。

page top pagetop