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芸科生の活動

13.『秘めたるもの』
15年度生 音楽学系列 安井茉奈

(1) 何を表現しようとしたのか

誰でも悩んだり落ち込んだり傷ついたり弱気になったり、いつでも完全な状態でいられるわけではない。そしてどこかに不安の種があって、時には絶望してしまうこともあるかもしれない。普段それを感じることはなくても、ふとした瞬間に秘めていたものが勢いよく胸の中に現れてきて、どうしようもない渦に支配されてしまうことだってあるかもしれない。しかし、ずっと絶望していられるわけではない。ひょっとしたら、その黒い渦に飲み込まれてしまったほうが楽なこともあるかもしれないが、そこから抜け出そうとするのも、人間の秘めた力だと思う。そんな荒れて傷ついた心から自力で立ち直る様子を表現したいと考えた。

(2) それをどのように音響で表そうとしたか

まず心の中に入ってきてほしくないのに無理やり入ってこようとする様子を、扉が壊されて吹き込んでくる雨風で表した。中間発表の段階では、ただの嵐を表現している感じになってしまい、説明ありきの状態だったため、どのようにしたら人間的になるのか考えた。そこで、生々しい感じの苦しさを表現できたらと思い、すすり泣く声や咳、かすかに響いているような声を増やし、少しホラー要素を意識して取り入れてみた。また、内面であるということを表すために、心音には響きを持たせた。これらの荒れた渦を封じ込めるのは、重い扉を閉め、鍵をかける音で表現した。鳴り続ける水の流れは、特に普段は感じることがなく、特に認識もしていないような、渦と化す前のまだ穏やかな状態を表しているつもりだ。最後にかけては、自分自身を自分なりにリセットし、今までとは違う現実に向かっていこうとする様子を、演奏前のチューニング音で表現した。全体的に、余韻や音の響きを大切にしようと意識した。

(3) 完成音響の客観的自己評価

ストーリーが弱いかなと感じた。全体的に、音を加工してそれらの音をただ重ねるという単純な構成になってしまった。前半の荒れている部分でも、もう少し変化をつけられたら良かったのかもしれない。心の中というのは目に見えるわけでもないし、説明できるようなものでもないため、テーマ自体が漠然としすぎていたのかもしれないが、もっと心の中を忠実に表現できたらいいなと思った。踏切の音は、始めは決断に迫られる様子を表現しようと思って取り入れたが、決断に迫られているというよりむしろ、渦に飲みこまれそうな自分への危機感、というほうがふさわしいのかもしれないと感じた。

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