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芸科生の活動

01. 『おお ああああ! しんでしまうとは なにごとだ!』
16年度生 美術史学系列 阿部 渚

(1) 何を表現しようとしたのか

 ゲーム世界という単一的な視点に縛られた世界に、理不尽さや個人都合の押し付けなどという横暴さを垣間みたので、それを勇者に襲われるモンスター側を主体に表現しました。
 あるRPGで、プレイヤーの操る勇者は、民家に押し入り、壷を割り、棚をあらし、荷物や金を奪いとる。道中であったモンスターを倒す。前者はもちろんのこと、道中でであったモンスターにだって、家族が、生活が、あるかもしれない。別に人間なんか襲おうとしているのではなくて、川に水遊びに行く、くらいの気持ちで移動していたかもしれない。それを勇者は、突然王に呼び出され世界を救ってくれ、と頼まれた勇者であることを免罪符にするように、蹂躙する。勇者には、そして勇者を操る我々プレイヤーには、それらを行う理由がある。それは、“強くなるために経験値が欲しい”“つよい装備がほしい”といった個人都合、なのである。最初こそモンスターとの戦闘の駆け引きを楽しむが、次第に装備が整いはじめると、まるで作業のように戦闘を行うようになっていく人もいる。これが理不尽ではなければなんなのであろうか。こういった理不尽は大小関係なく、日常生活にも表れている。大げさなゲームの例を挙げたが、普段から様々な視点を持つ重要性も認識して欲しいと考える。

(2) それをどのように音響で表そうとしたか

 最初は音をすくなく、また耳馴染みの良い物でまとめることで、飽きてしまうくらいの日常性を表した。その日常を突然大きな雑音が遮り、勇者の来訪を告げる。それ以降の音は、勇者をあやつるプレイヤーに聞こえる無機質なゲーム音、実際に勇者に切られる者たちの生々しい悲鳴や、破壊音、金属音といった耳障りの悪い音をいくつも重ね、突然表れた勇者の、個人都合の押し付けが生んだ悲惨な状況を表した。また「やったぁ!」「なんだ、雑魚か」といったゲームをプレイする側の声を機械的に加工し、ところどころにはさむことで、その横暴さを表した。勇者の目的はレベルを上げること、に絞り、勇者が去った後はシステムが流すレベルアップ音が繰り返し繰り返し響き、それに重ねて人間のすすり泣く声をのせることで作業のように行っているレベルアップにひっそりと隠れた犠牲を表している。

(3) 完成音響の客観的自己評価

 突然訪れる、という点と、相手側を考慮しない理不尽さは良く出せたと感じる。
 しかし、その理不尽さを表すのに多くの音をつめこみすぎてしまった。もう少し簡潔に表すことも出来たのではないかと思う。中間発表の時点では、音を紛失してしまっていたので、日常の部分しか聴いていただくことができなかったが、日常部分はもらった意見を参考にし、少し短くし、音に変化をつけた。その後の悲惨さを表している音響部分は、素材を用意した段階では、順番に事を行っているだけだったのを、並列して様々な動作を表す音をおくことで回避できたと考える。日常面とくらべ、勇者の来訪後の音響は勢いがあるので早く過ぎるように感じる。できた音源を聴いて、もう少し長くとっても良かったかもしれないと感じた。

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