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芸科生の活動

04. 『眠りに落ちて、そして___』
16年度生 音楽学系列 桑原 汐里

(1) 何を表現しようとしたのか

 この夏期講座のテーマを決めるとき、なかなかいいテーマが決まらす悩んでいたのだが、その頃ちょうどある夢を見た。「友人に追いかけ回され、最終的に撃たれて殺される」という内容の悪夢だ。追いかけっこの舞台は誰もいないショッピングモールや廃墟など様々だが、私は今までに何度も同じような夢を見たことがあるのだ。そこで私はこの悪夢と同時に、「眠りに落ちる感覚」を音響で表現できたら面白いのではないかと考えた。と言うのも、私は友人とよく寝る前に通話をしているのだが、いわゆる「寝落ち」を頻繁にしてしまうのだ。話していた記憶はあるものの、途中からぷっつり途切れたように記憶がない。そこで「いつのまにか眠りにつく感覚」とはどんなものだろうと考え始めたのがきっかけだ。

(2) それをどのように音響で表そうとしたか

 私が考える「眠りに落ちる感覚」は「水中に深く潜っていく感覚」に似ている。そこで、だんだん眠りの世界に落ちていく感覚を水中音で、夢の世界へ浮上していく感覚は炭酸の音にリバーブをかけて、だんだん世界が開けていくような感じを表現した。この部分は中間発表の時に、眠りに入っているところなのかがいまいち伝わらないとの指摘があったので、冒頭にあくびと寝息の音を追加した。夢の場面は当初、足音を入れて追いかけられている感じを表そうと思ったのだが、音がリアルすぎるなどの指摘を多く受け、さらに音数を絞ってみてはというアドバイスをいただいたので足音は取り除き、自分で録音した声のみを使って焦りを、そしてだんだん大きくなる笑い声で友人が迫ってくるような感覚を表した。この時パンを工夫して、現実世界でうなされる自分をうめき声と布団の衣擦れの音を左側から流した。ここは中間発表での指摘もあり、夢と現実の区別がつくよう夢の中の音には全てリバーブをかけ、後ろでも水中音を弱めに流すことで夢の中の世界であることを強調した。悪夢から覚める瞬間は一気に現実に引き戻されるようにしたかったため、徐々に冒頭で使用した炭酸音を逆再生し始めて一気に音量を上げ、それまでに流れていた音と同時に消すことで勢いを出すことができた。

(3) 完成音響の客観的自己評価

 眠りに落ちる感覚、そして夢という不確かなものを音響に表すことはとても難しく、中間発表で指摘を受けてからは悪夢を呼吸だけでどう表現しようかというところにも悩んだ。「はぁ、はぁ」という呼吸音を入れるのは安直すぎないかとも思ったが、それ以外にいい方法が思いつかなかったため、結果それを使用した。テーマが抽象的なものなのに、少し説明的になってしまったような気もする。また、「最終的に殺される」という本来の夢のシーンをあまり表現できなかったのも残念だ。もう少し改善の余地があったのではないだろうかとも思うが、結果的にこれはこれでよくまとまったのではないだろうか。

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