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芸科生の活動

芸科生の留学記──ドイツ編2008

第9回 「ドイツの大学制度」 芸術学科芸術メディア系列3年 YOさん

 こんにちは。今回はドイツの大学制度についてお伝えします。

 現在ドイツの大学制度は変わりつつあります。以前はMagisterとDiplomという学位がドイツにありました。人文系の学科を修了した学生にはMagister、自然科学系の学科を修了した学生にはDiplomがそれぞれ与えられます。これらは日本の修士号に相当します。しかし2010年までにMagisterやDiplomは廃止され、新しくBachelor(学士に相当)/Master(修士に相当)いう学位が与えられることになりました。

 Bachelor/Master制度の導入には、ヨーロッパ単位互換制度(ECTS−European Credit Transfer System) が深く関わっています。これは1999年に、ドイツを含むヨーロッパ29カ国が署名した、ボローニャ宣言に含まれている内容です。ヨーロッパでは国によって大学在籍期間や単位認定システムが異なります。そのため留学生の単位認定が容易ではありませんでした。そこでこれらを統一し、単位認定をスムーズにし、学生や教員の行き来がより活発になることを目指しています。そしてドイツでも、国際的に認められているBachelor/Master制度を導入することになったのです。

 新しい学位制度の導入時期は各大学の学部ごとに異なります。3年前からBachelorを導入した学部もあれば、まだ導入してない学部もあります。ハンブルク大学の日本学科では一年前(2007年秋学期)から、Bachelorが導入されました。

 BachelorとMagisterの違いは何かというと、まず卒業までにかかる年数が違います。Bachelorは3年(6 Semester)で学位が取得することができ、国内や外国の大学でMaster取得のために、より専門的に学ぶことができます。しかし、Bachelorの生徒はあらかじめ多くの時間割が決められており、自分の好きな教科や授業をあまり選択することができません。また、ドイツには主専攻のほかに副専攻を2つ選択できますが、どの学科を選択してもよかったMagisterとは違い、選べる副専攻が限られています。Magisterは副専攻の変更が何度でも可能でしたが、Bachelorでは1回しか変更することができません。

 一方、Magisterは学業計画を決める際に、多くの科目を自分で選択することができ、時間もたくさんあります。学生たちは関心を持った分野に長い期間取り組み、学業や自分の将来について深く考える時間があるのです。Magisterはたいてい5〜7年かけて卒業し、いつ卒業するか自分で決めることができます。しかし、自由な時間がたくさんあるために、ほとんど勉強せず、アルバイトばかりしている人も目立ちます。

 この大学制度改革についてMagisterの学生に意見を聞くと、多くは「Magisterでよかった」といいます。自由時間と選択の余地がたくさんあることがその理由です。Bachelorは自由時間が少なく、学生にとってそれが良いのか疑問に思うのだそうです。

 この制度に疑問を抱いているのは、学生だけではありません。実際、授業の中でこの話になると、反対意見を口にする先生は多いです。いま経済学部で学生に教えている友達も、この制度に反対です。理由は、Bachelorの学生は、基礎的な知識しか身につけることができないからです。3年間は多くの専門的な知識を教えるには不十分で、その後も同じ分野で研究を続け、後継者となるような学生が少ないのではと彼は感じています。また、Diplomのように多くの新しい知識を得ることができず、ただ古いテーマを掘り下げただけになってしまうことも問題視しています。

 こうした反対意見が多い中、自ら希望してMagisterからBachelorに変更した学生がいました。彼女はMagisterでは時間に余裕があるため、怠けてしまうという理由で変更しました。Bachelorは大変忙しく、アルバイトする時間も限られます。しかし、ある程度の強制がないと、いつもだらだらしてしまい勉強に身が入らない、と彼女は考えているのです。ただ、日本学科での授業と副専攻の授業が重なってしまい、副専攻の変更を余儀なくされたことが問題だったそうです。

 この新しい制度は始まったばかりなので、導入の結果がどうなるのかまだわかりません。どちらの制度もいい点があって、どちらがいいか、悪いか決めるのは難しいと思います。しかし私は、学生時代は多くの選択肢があったほうが良いと思っています。大学入学後、他の分野に興味を持ったときに、副専攻として選択できたり、アルバイトしながら自分探したりするのも学生生活に大切なことだと思います。

 私もこれまで芸術やメディア以外のことに興味を持ちましたが、日本には副専攻もなく、編入や別の大学をもう一度受験するのは本当に大変なので、選択できませんでした。そのためMagister/Diplom制度は魅力的だと感じます。Bachelor導入後も学生が自分で考え、選択できる余地が保たれていれば良いなと思います。

2008年11月6日

STINE(大学のホームページ) Magisterの学生は紙の証明書をもらっていたが、Bachelorの学生は単位がもらえ、成績がコンピュータで管理されるようになった。新しくSTINEというページが加えられ、ここから授業登録や成績照会ができる。

Bachelorの学生 Magisterの学生と比べ、たくさん勉強しなければならない。

Bachelorの学生(写真2)が持っていた時間割 月曜から金曜まで授業があり、1週間で33時間授業を受けている。

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