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芸科生の活動

芸科生の留学記──ドイツ編2009

第9回 Die Bedeutung eines gemeinsames Lebens 〜共同生活の意味〜 

芸術学科芸術メディア系列3年 MYさん

 こんにちは。今回はWG(Wohngemeinschaft)についてお伝えします。これは、私たち日本人になじみぶかい言葉でいえばルームシェアのことです。昨今のドラマや小説の影響で、日本でもルームシェアをしたいと思う若者が増えてきました。私はこちらにきてからずっと、寮ではあるもののルームシェアという形態をとって住んでいます。しかしルームメイトが全員留学生である、すなわち文化が違うということから、さまざまな長所や短所があります。現在の寮に住みはじめて3カ月が経過し、日々さまざまなことを感じています。それはいったいどのようなものなのでしょう。

 ドイツのWGの場合、たいていは次のような構造になっています。数人が共同のバス、トイレ、キッチンを利用するものの、各々プライベートルームがあるというものです。私の寮もこのような構造になっています。各部屋の人数は寮によって異なりますが、2人から10人ほどです。私の寮の場合、1つのフロアが4つに分かれていて、それぞれのブロックに3人ないし4人住んでいます。

 私の部屋は3人部屋で、ルームメイトはジンバブエの男性とウクライナの女性です。この2人は同じ学校に通っており、年齢も20代後半と、私と少し離れています。彼らはドイツ語ができないので、私たちの共通言語は英語です。3人の出身国は、地理的にうまく離れているので、友人にもおもしろいと言われます。私も9月に引っ越してきた当初は、これからの生活が楽しみだと思っていました。しかし、地理的にうまく離れているからこそ、問題が生じます。

 他の日本人の留学生の部屋では、人の食べ物を勝手に食べたり、使ったお皿を洗わなかったりなどの問題が生じていますが、私の部屋では幸いにもこのような問題は起きていません。しかし、ただ1つ問題がありました。それは「声」の問題です。話し声、笑い声が非常に大きいのです。引っ越してきた当初の私は、たしかにそのように感じましたが、これが共同生活なのだろうと思っていました。しかし、1カ月過ぎたあたりで、少しおかしいのではと思うようになりました。ヘッドフォンをして最大音量で音楽を聴いてみても、彼らの声が聞こえてくるのです。私の寮は、防音に優れていて、ドアを閉めるだけでもある程度の音はシャットアウトされます。ドアとヘッドフォン、この2つで耳に壁をつくっても聞こえてくるのです。この生活が1年続いたらどうしようと悩んだ私は、とくに声の大きなジンバブエの男性と話をすることにしました。すると彼はあっさり「分かった。気をつける。」と言いました。もちろんこれで私は部屋が静かになるだろうと思いました。しかし、翌日になっても翌々日になっても、状況はまったく変わりませんでした。そして、ちょうど私も学校が始まったころでナーバスになっていたのもあり、とうとうある日、私に話しかけてきたジンバブエの男性に面と向かって日本語で、うるさい、と怒鳴ってしまいました。

 その日から私とその男性はあまり話をしなくなりました。というよりかは避けるようになりました。以前は相手が台所で調理していても、普通に入っていき、少し会話をしたりしていました。しかし、そのようなことがまったくなくなりました。生活が静かになったのでよかったのですが……。しかし、このままではいけないとお互い感じたのでしょう。1週間後、お互いに謝り、一緒にピザをつくり仲直りをしました。

 時間が経過してみていま思うことは、私自身が国籍の違う人と一緒に住むということを理解していなかったということです。欧米の人はアジア人に比べて、声やジェスチャーなどが大きくて大げさです。もし、私が早くこのことに気づいていたら(知っていたら)、このようなことは起きなかったでしょう。しかし、逆にいえばこのようなことがあったからこそ、文化の差について見つめなおすことができました。

 たとえば、その声の問題についてジンバブエのルームメイトに初めて話した時も、非常に勇気がいりました。このことを話して相手が傷ついたらどうしようと、と。いま思えば、これは日本人が悩みそうな問題だと思います。なぜなら、こちらの人は何か問題があるとすぐに言うからです。また、私が英語でどならず日本語で言った理由には、言葉の壁があります。私にとって英語に触れることは数年ぶりのことで、生の英語に触れることは初めてです。

 この問題が起きた当初は、どうして部屋が日本人と一緒じゃないんだろうと思いました。日本人と一緒であれば共通の常識や共通の言葉があるので、何か問題があった時には非常に言いやすいのにと悩みました。しかし、国籍が違うからこそ、日本についてあらたに考えることができ、また相手の文化についても知ることができます。このことは共同生活の醍醐味だと思います。違う文化の人同士が同じ屋根の下、一緒に住むということはなかなか体験できません。ひょっとすると、帰国するころにはこの生活から離れることが寂しいと感じるかもしれません。

2009年11月18日

1フロアに2つの大きな扉がある。この扉を開けると、2ブロックの部屋がある。

上の写真の扉を開けると、この扉が二つある。この扉はそのうち1ブロックの部屋のもの。ここは3人部屋。

上の写真の扉を開けると、このようになっている。手前の二つはプライベートルームで、奥に見えるものはトイレ。

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