• HOME
  • 芸科生の活動
  • 大学院生の活動
  • 卒業論文
  • イベント/お知らせ
  • 学科紹介
  • 大学院研究科
  • 教員紹介

芸科生の活動

芸科生の留学記──ドイツ編2009

第10回 EU ohne Grenzen 〜国境なきEU〜 芸術学科芸術メディア系列3年 MYさん

 こんにちは。ヨーロッパはいうまでもなく、陸つづきになっています。なので、国同士の移動が日本よりも容易になっています。ドイツはヨーロッパのちょうど中央に位置し、フランス、スイス、オーストリア、チェコ、ポーランド、 デンマーク、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの9カ国に囲まれています。今回は、島国日本では体験することのできない、EU内に住んでいるからこそ体験できることについてお伝えします。

 もしも、みなさんが日本からドイツへくるとしたら、必ず出入国審査を受けなければなりません。これは「人々の国際的な交流の円滑化を図るとともに、我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより、健全な日本社会の発展に寄与する* ためです。パスポートを提示し、何もなければ、出入国証印をおしてもらい、無事通過することができます。しかしEUでの移動の場合は、この審査が免除されます。シェンゲン協定の影響です。この協定は1985年にベルギー、フランス、ルクセンブルグ、オランダ、ドイツの5カ国間で調印されました。しかし今ではEUの条約の一部になっているので、25カ国もの国が実施しています(実施していない国もあります)。審査がないということは、すなわち国境がないということを意味します。25カ国もの間で国境がないのです。私はこのことを知った時、大変おどろきました。しかし、EU内では教育にも国境はありません。

 Erasmus Mundus(エラスムス・ムンドゥス)という教育計画が1987年から始まりました。名前は、15世紀から16世紀に活躍したオランダの人文主義のエラスムスに由来します。ヨーロッパの大学間の交流が活発になることで教育の質を向上させ、またヨーロッパ以外の地域からも学生を受けいれることで、学ぶ機会を多くの人に与えることがこの計画の目的です。当初は年間3000人ほどの学生がこの計画を利用していましたが、今では約10万人に増え、学生間でも国境はなくなりました。助成金システムも充実しているので、学びたい意欲のある学生は進んで教育を受けることができます。このように他国の学生と同じ授業を受けるということは、したがって次のような光景を生みます。

 私の受けているある授業では、ほとんどの学生がヨーロッパの人です。先生(ドイツ人)は、ヨーロッパの言語がほとんどできてしまいます。その授業は、ドイツ語を学ぶ授業なので、先生の言っていることがわからないとすぐに質問ができます。初回の授業である学生が、いま言った単語が分からないと言いました。すると先生は「君はどこ出身だい?」と聞き、その学生が「イタリアだ」と言うと、先生はその単語をイタリア語でぽろっと、言いました。はじめ、この光景を見た時、私を含め他の学生もおどろきました。そして、フランスの学生やポルトガルの学生が質問しても先生はすぐに答えるので、小さなクラスですが、このなかでも言語は国境を超えています。

 最後に、最近のEUの動向をお伝えします。EU首脳会議常任議長、いわゆるEU大統領がこのほど選出されました。この役職はリスボン条約の発効に基づくもので、国際社会でのさらなるEUの発言力の高まりと外交体制を強化するために設立されました。EUには27カ国が現在加盟していて、5億人の市民が住んでいます。その5億人の「顔」が選ばれたのです。この役職の任期は2年半で、再任は1度限り認められています。この初代大統領は、ファン・ロンパウ前ベルギー首相です。やはり27カ国をまとめるということなので、彼に決まるまでは誰を大統領に選ぶかという押し問答がありました。しかし、このほどやっと決まり、政治的にも国境がなくなりつつあります。

 日本にいた時には、周りを見渡しても日本人しかおらず、またそのことが当り前になっていました。しかし、ヨーロッパではそのような現象は逆に珍しくなっています。電車の横に座っている人すらドイツ人であることは少なく、移民やまた他のヨーロッパの人であることが多いのです。人間やモノ、言葉や政治に境目はなくなってきたEUは今後どのような道を歩んでいくのでしょう。
*法務省入国管理局HPより引用 http://www.immi-moj.go.jp/

2009年12月02日

ヨーロッパの地図(ドイツ語)DEUTSCHLANDがドイツ。陸続きということは、旅行等の移動が簡単ということも意味する。

出入国証印 去年のサマースクールの時のもの。上段がドイツでの出入国証印で、下段が日本での出入国証印。これは旅の記念にもなるので、EU内でこのスタンプがないことは少し悲しい

ハンブルク大学 ここで勉強しているERASMUSの学生は、もちろんドイツ語をすでに習得している。

page top pagetop