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芸科生の活動

芸科生の留学記──ドイツ編2008

第11回 「大学の学費導入」 芸術学科芸術メディア系列3年 YOさん

 こんにちは。今回は大学の学費についてお伝えします。これまでドイツの大学の学費は、税金から支払われていたため無料でした。しかし近年、大学制度の改革や大学の財政難に伴い、学費(Studiengebuhren)が導入されることになりました。学生の在籍期間が長く、税金の無駄遣いではという考えも影響しています。この学費導入に際して、「お金のない学生にとって不利、誰もが平等に教育を受けられない」ことが問題となりました。

 学費を導入するかどうかは、数年前から議論されてきました。2002年、大学大網法(Hochschulrahmengesetz)により、「最初の学位取得までの期間で学費を導入することは禁止」とされましたが、再び議論され、2005年連邦憲法裁判所でこの法律は無効になりました。それ以来、多くの州が学費導入を決定し、ハンブルクは2007年から学費が導入されることになりました。

 2007年冬学期から2008年夏学期まで、一学期間に500ユーロの学費を支払わなければなりませんでした。これはあらかじめ支払期限が決められており、それまでに支払えない場合は退学になりました。この決定に対して、学生たちの間で多くの学費導入反対運動が起きました。彼らは、大学の近くで学費反対のデモ行進をし、学費の支払いを拒否しました。その代わり弁護士にお金を払い、弁護士が利益代表者となり、学生のために戦ったのです。学費導入の決定は覆されることはありませんでしたが、学生たちの経済負担を減らすために、今学期(2008年冬学期)から375ユーロに引き下げされました。それだけでなく、大学卒業後、年収3万ユーロ以上の収入を得た時点で支払う、という後払い制度もできました。もちろん在学中に毎学期支払うことも可能で、今払うか、卒業後にまとめて払うか選ぶことができます。この制度により、お金のない学生でも問題なく大学に通えるようになったのです。

 学生たちから徴収した学費は、大学施設の充実や、教員を増やすなどのために使われると約束されています。しかし、本当にそれが実現されるのか疑いの目を持っている先生も多く、日本学の先生も学生と一緒にデモに参加したそうです。一部の先生方は、この学費が将来、大学の運営費に組み込まれてしまうのでは心配しています。後払いになったことで、学生たちは在学中に学費導入について深刻に考える必要が少なくなりました。そのため学費反対運動も徐々に減り、今はすっかり落ち着いたそうです。しかし、今後問題が生じてくる可能性は高く、後払いというシステムを作り、問題を上手く先延ばしたなと考えています。

 実際に学費が導入されてから、大学の施設は変わったのか聞いてみると、それを実感している学生や先生は少ないなと感じました。日本学の場合は、もともと施設が新しいため、学費導入後に大きく変わったところはありません。時々図書館で、“これは学費で買いました”という紙が貼ってある本や返却ポストがあり、それを見たときに学費の使い道を実感するそうですが、その他の学費がどこに使われているのか、お金の流れはよくわからないそうです。

 日本では、学費を払うのはもう当たり前のことです。そのため、ドイツの学生がこの学費導入を深刻に受け止め、具体的に学費反対運動を行ったことは、私にとってとても新鮮でした。これまで私は学費の流れに疑問を抱いても、大学卒業資格を得るためには仕方のないことだと思い、あまり深く考えたことはありませんでした。しかし、デモなどの反対運動を起こすかどうかは別として、自分たちの問題について考え、はっきりと意見を主張する姿勢が大切だと感じました。

2008年11月12日

学生生活相談センター 学生が学生生活で生じた問題を相談できる所。“BOYKOTT”の文字は学費反対運動が盛んだったときに貼られたもの。

学費導入反対運動の記事 学生生活相談センターのガラスに貼られている紙。学費反対についての記事を紹介している。

図書館の本返却ポスト 学生たちが払った学費によって購入されたもの。

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